黄色い菜の花がいっぱいに広がる東串良に移り住んで菜種油作りを始めたのが、昭和11年のこと。昔ながらの釜煎り圧搾による製法で契約栽培の純国産菜種のみを原料に、一番搾りした「純菜種油」が今も変わらぬ看板商品。素材の良さを活かすために、化学薬品、添加物は一切不使用というこだわりぶり。

「純菜種油」を造る工程はシンプルながらも実に手間暇がかかる。まず、ふるいにかけた菜種を鉄釜で20～30分煎った後、圧搾機で搾る。次に原油をタンクに溜め、お湯洗いして一晩置く。翌日、上澄みのみをもう一度お湯洗いしてさらに一晩置く。すると、純粋な上澄みだけが残る。その上澄みの油に熱を加え、水分を完全に飛ばし、和紙を仕込んだろ過機を通せば、黄金色の菜種油がお目見えする。その黄金色の輝きが生まれるまでに、たくさんの思いが詰まっている。

村山製油のもうひとつの人気商品が「黒豚みそ」。「黒豚みそ」と言えば、鹿児島県の食卓には欠かせない郷土の味。村山製油では、国産素材のみで「黒豚みそ」を製造している。味噌の甘みと豚肉の旨味が、焼酎やごはんに最適の味。良い物で多くの人が笑顔になってくれたら、こんなにうれしいことはないと、村山さんは今日も良い製品作りに余念がない。